将棋会館移転について

日本将棋連盟の通常総会が6月に開かれました。
東京・千駄ヶ谷の将棋会館移転案について、(1)東京23区内で候補地を公募する(2)JR千駄ヶ谷駅近くにある商用施設を部分保有もしくは賃借する、という2案が提示され、棋士らの投票の結果、JR千駄ヶ谷駅近くのビルに移転する方針に決まりました。
移転先の千駄ヶ谷のビルは、東証一部上場大手不動産会社のヒューリックが保有し建て替えを予定するビルになります。

この結果ですが、私の感覚からすると不思議な結果となっておりました。
なぜならならば、将棋会館の移転先は、今後50年~100年に渡り将棋界の発展に強く影響する決断であるがゆえに、まずは、「広い視野」で移転先候補を探しだすのが自然であり、東京23区内で候補地を公募するべきであると考えていたからです。

今や藤井ブームに沸く将棋界ですから、東京23区内の各地域から良い提案が出てくる可能性は高いと考えます。
実際、私は東京23区内の有力な区が誘致したい旨を数ケ月前に聞いておりました。
ヒューリックが建て替えを予定するビルにいきなり移転するという結論を出してしまうのは、大切な物事を決定する順番において正しくない可能性があります。

理由は次の通りです。

・ヒューリックと今後契約を進めるにしても、競合するプランを持っていないと交渉の材料が無い。

 競合が無いと交渉において不利です。

 契約初期の段階から競合がいないので内容がどうしてもヒューリックのペースになりがちになります。

・将棋会館の建物は独立した個性豊かなデザインが好ましい。

 日本の大切な文化を象徴するものですから、建物デザインもこだわるものができればベストです。

 例えば、銀座歌舞伎座の建物のような。。

 ビルのテナントでは困難です。

・色々なプランを比較検討することにより、様々なプランから良い要素を知ることができる。

 その機会を今回は逸しています。

・公募して選定した結果として、現在地近くの千駄ヶ谷のビルに移転するのがベストという判断になるならば、多くの棋士の先生方、将棋会館の職員の方々、将棋ファンにとっても納得感が高くなる。

 

ただし、ともあれ決まった結果でありますから、将棋界の更なる発展のために、今後は新将棋会館の運用面において十分なプランを練って頂ければ有難いと思っています。
新将棋会館の一角においしい珈琲が飲める静かな場所が欲しいです。将棋を指しながら美味い珈琲が飲めると嬉しい限りです。

 

鷺宮将棋サロン会長