どうすれば東大に入れるか? @中学生科学コンテスト 東京

幸運にも中学生の娘のチームが科学技術コンテスト(東京都大会)に入賞し表彰されることになりました。
その記念講演で東大の西成勝裕先生の講話があり非常にためになったので一部をブログでご紹介したいと思います。

西成先生は、数理物理学者です。
特に数学力は半端でなく、なんとセンター試験2002年、2003年の数学の問題は西成先生が作られています。

これだけで実力についての説明は十分ですね。

 

1.どうすれば東大に入れるか?

 

解答を見直す時に、「これは絶対間違っている」と自分でしゃべって見直すのが良いとのことでした。
東大の合否判定においてはボーダーラインの1点差にたくさん並ぶそうです。
そこから抜け出すには、とにかく「ミスをしないこと」とのことです。
考えてみると、将棋もそうだということに気が付きました。
勝ち将棋や均衡のとれた将棋にて、負ける時の多くは、自分がミスをして悪手を指して負けるのです。

そういえば、鷺ノ宮に住んでいた升田幸三元名人も「錯覚いけないよく見るよろし」と呟いておりましたね。


2.思考力の差

 

学問も将棋も同じで、1つ1つ、1段1段の解き方は簡単とのことでした。

1段目とは思考というか反射レベルとのことでした。
1+1=2のレベルです。

しかし、それが2段になると
1+X=2のレベルになります。
Xを求めることになり少し難しくなります。
ここから思考のレベルになるとのことでした。

そして3段になり、そして20段になりとどんどん難しくなるとのことです。
何段も考えていくこと、すなわち疲れていくことです。
それを克服する力を思考体力というそうです。
センター入試の数学では、この思考体力を試しているとのお話でした。

西成先生が作成した入試の問題だと22段くらいの段数があるとのことです。

将棋でいう「読みの力」に相当すると思った次第です。
羽生前竜王や藤井七段は「読みの力」即ち「思考体力」がすごいわけです。

学問も将棋も結局、何段まで考えられたかで勝敗が決まるとのことであり、聞けば当たり前であるような気がしますが、私にとっては、目から鱗のお話しでした。

将棋をやっていると、自分がこう指せば、相手がこう指して、次は自分がこう指して、、と思考の段数をあげるトレーニングが自然にされます。
その意味で、将棋は、思考体力やそれを作る習慣という意味で非常によい趣味だそうです。

また多段思考力と別次元で大局力が大切であるとのお話でした。

西成先生の言われる大局力とは、全体を見わたし、先を見通す力になります。

具体的には

 ・広い視野で状況を把握し分析、そして実行する能力
 ・少し先を考える戦略的思考
 ・損をして得を取る
 ・失敗を未然に防ぐ「外段取り」
 ・目の前以外のところも見る力
とのことでした。

これも将棋で学ぶ「大局観」と同じです。
将棋も同じで、例えば直近では駒損しても、後で徐々に駒損を取り戻せるとか急所の位置に自分の駒を配置できるとかの局面全体の先を見た「大局観」が大切なわけです。

学問も将棋の世界も実は同じ能力が必要だと改めて思った次第です。

「大局観」に関しては私は人生を生き抜くためにも非常に大切だと思っています。
普通の人は「損して得取れ」が、なかなかできないのです。
先に「損」をすることがしずらいのが人間なのです。
しかし「大局観」を磨かれてくるとそれが普通にできるようになってくるわけです。

例えば、一番簡単な例が彼女との最初のデートの食事代だと思います。
自分が損して全額奢りましょう。
まちがっても割り勘とか、ちょっと大目とかの半端なことをしては駄目です。
たかが数千円、数万円です。
そこでケチっては駄目です。
損をするけど、彼女の心の盤面に自分をいいポジションに配置するのです。

 

鷺宮将棋サロン会長